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社説・コラム

『スポットライト』 市民の声受け止めて

島根原発の意識調査をした島根大法文学部教授

上園昌武さん(42)=松江市

 「島根県と松江市は、市民の声として重く受け止めてほしい」。中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)に関する松江市民の意識調査結果を公表した。1~3号機のいずれも、稼働反対が賛成を上回った。

 市の人口の約100分の1に当たる2千人(回答者1296人)を対象とした。「学生はもちろん、市民と行政に客観的な判断材料を提示するのが研究者の仕事」と自負する。「福島であれほどの被害が出たのに、島根原発の学術研究は少なく市民の議論も深まらない」と、実施を決めた。

 調査では若年層ほど原発推進に賛成する数が多いことも判明。70代は約7割が反対したのに対し、20代では約3割だった。「普段接する学生にも、危険性を認めつつも『必要』とする声が根強い」という。

 理由として、太陽光発電など「原発に代わる再生可能エネルギーの普及に向けた議論が進んでいない」点を挙げる。「課題と可能性の両面を追求し、提案していきたい」(樋口浩二)

(2012年11月19日朝刊掲載)

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