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社説・コラム

『スポットライト』 現地医師育成意気込む

核実験被曝者の医療支援を続ける島根大医学部教授

野宗義博さん(62)=大田市大田町

 島根大がカザフスタン・セメイ市のセメイ国立医科大と結ぶ交流協定で、島根大側の責任者を務める。旧ソ連時代の核実験被曝(ひばく)者への医療支援の充実へ「島根大の若手の協力も得て現地の期待に応えたい」と意気込む。

 セメイ市の近くには1949~89年に450回超の核実験が繰り返されたセミパラチンスク核実験場があった。広島の医師の誘いで2003年に初めて現地を訪れ、がんなどに苦しむ住民を目の当たりにした。

 「大変なことが起こっている。何かしてあげないと」。それ以来、連休を利用して毎年現地に足を運び、住民の健康診断や診療機器の寄贈を続けている。

 一方、年1、2度の訪問に限界も感じる。「機器があっても使いこなせない。医師の育成が急務」と語る。それだけに両大学の交流への期待は大きい。「現地の医師の『学びたい』という意欲は強い。日本の医学が応えないといけない」

 地域医療を担う医師を育てる同大大田総合医育成センター(大田市)のセンター長も務める。「島根で地域医療に取り組みながらでも、国際的な医療支援に携わることはできる。若い医師にそんな道を示してあげたい」(明知隼二)

(2012年11月21日朝刊掲載)

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