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国際貢献策の継続要請 ユニタール広島事務所 新所長が知事訪問

■記者 二井理江

 国連訓練調査研究所(ユニタール)広島事務所のアレクサンダー・メヒヤ新所長(42)が21日、広島県庁に藤田雄山知事を訪ね、就任のあいさつをした。

 メヒヤ氏は、アフガニスタン奨学プロジェクトなどの事業に対する県の協力に謝意を示し、藤田知事は「引き続き最大限のお手伝いをさせていただく」と述べた。

 引き続き県庁内で記者会見したメヒヤ氏は、地球温暖化や持続可能エネルギーなどの環境問題や企業の社会的責任をテーマに、来年から新プログラムを始めると表明。「広島は平和、安全保障など知識の宝庫。ここにある事務所だからこその事業をしたい」と強調した。

(2009年10月22日朝刊掲載)


「この人」 ユニタール広島事務所長 アレクサンダー・メヒヤさん

■記者 二井理江

 瀬戸内海の夕焼けが、着任間もない緊張感をほぐしてくれたという。初めて訪れた被爆地広島。「報復でなく、受けた痛みを乗り越えて平和をつくる道を選んだ街。戦争や紛争からの復興について学べる点が多い」。平和記念公園(広島市中区)そばにある事務所の「地の利」をあらためて感じている。

 その一つが、現地の行政関係者らを被爆地に招いて研修する「アフガニスタン奨学プロジェクト」。この「広島だからできる」独自の復興支援事業の対象をイラクにも広げたい、と思いをめぐらせる。

 美しい自然を前に、環境についての新プログラムも構想する。「広島には技術力の高い企業も多く、各国の環境専門家を呼んで研修ができないか。広島を知識の拠点にしたい」とイメージは膨らむ。

 エクアドルの外交官や経済省副大臣、世界銀行理事などを歴任。「一人では何もできない。どの仕事もチームワークが大切」と振り返る。米国など5カ国で暮らした経験から、地域との連携にも力を入れる考え。国連やユニタールの活動を紹介するパネル展、高校や大学での講演などを検討中だ。「県や広島市、企業、学校とのパートナーシップをもっと広げたい」

 新所長を選ぶユニタール本部の公募には今回、60人以上が応募したという。「世界の中で最も行きたいと思っていた場所。歴史を前向きにとらえて歩んできた街だから」。妻は近く来日。11、10、3歳の娘も呼び寄せ、歴史の間違いを繰り返してはならないことを、この地で学んでほしいと願っている。エクアドル出身。42歳。

(2009年10月21日朝刊掲載)

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