×

社説・コラム

オスロで国際会議 広島平和文化センターのリーパー理事長に聞く

 3月にオスロで開かれる国際会議の意義や被爆地広島の役割について、参加を予定している広島平和文化センターのスティーブン・リーパー理事長に聞いた。(二井理江)

   ―核兵器廃絶に向けて、今回の会議はどんな意義がありますか。
 広島の人たちにとっては当たり前かもしれないが、核兵器がどれほど非人道的か、国レベルで科学的、現実的に話す重要な会議となる。核兵器を持っていない国が立ち上がり、「人類にとって核兵器は危険すぎる。核抑止論はもういい。やめなさい」という流れがつくれるかどうか、だ。

 ―なぜ今、議論するのですか。
 2015年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向け、昨年5月にあった第1回準備委員会で、スイスなど16カ国が核兵器の非合法化を求める共同声明を発表。同じような内容の声明を、35カ国が10月に国連総会の第1委員会(軍縮)に出した。総会では12月に、核兵器のない世界に向けたワーキンググループの開設と、核軍縮に関する高官会議(核軍縮サミット)の今年9月開催を決めた。

 こうした流れの中、3月の会議で、核廃絶に向けて交渉を始めようとか、核兵器禁止条約をつくろうといった話になれば、大きなうねりになるだろう。核兵器を持たない多くの国が核廃絶に向けて話し合いを始めれば、保有国に対する大きなプレッシャーになる。

 次のNPT再検討会議の場で、150~170カ国が核兵器禁止条約に賛成するようになるのが望ましい。

 ―日本は16カ国にも35カ国にも入っていません。今回の会議で、日本の影響力はありますか。
 非常に大きい。原子力産業の盛んな日本が積極的な態度を取れば、核兵器廃絶に向けて大きく前進するだろう。しかし、もし行き詰まっているジュネーブ軍縮会議(CD)で交渉を続けようとか、核弾頭を減らすなど一歩一歩やろう、といった提案をすると、足踏みすることになるだろう。

 ―被爆地広島の役割は。
 どんなに広島の人たちが運動しても、国レベルで動かないと、無視されているような状態。平和市長会議だって5500都市も加盟しているのに、大きな影響力は発揮できていない。

 それが国レベル、しかも多くの国が動き始めれば、ヒロシマの思いがつながり、広島・長崎がリーダーシップを取って動けるようになる。例えば平和市長会議の加盟都市も、核兵器廃絶を求める動きに参加するよう自国政府に対して主張しやすくなるだろう。

(2013年1月21日朝刊掲載)

年別アーカイブ