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社説・コラム

永田町発 被爆者救済の見通しは 自民 寺田稔氏

積極認定の条件拡充

 政権与党に復帰した自民党が「被爆者救済を進める議員連盟」を発足させた。原爆症認定制度の見直しを当面の最大課題に掲げる。寺田稔代表世話人(広島5区)に見通しを聞いた。(岡田浩平)

 ―原爆症認定の課題をどう考えますか。
 麻生政権下で原爆症認定集団訴訟の終結に道筋をつけ、被爆者救済のムードが高まったが、民主党政権下で新基準作りは停滞した。かつて自民、公明の与党プロジェクトチーム(PT)で作った今の認定基準も、運用でかなり対象が狭まっている印象を受ける。

  ―厚生労働省の有識者検討会で、日本被団協は現行制度を廃止し、全被爆者対象の新手当を設け、病状により加算する案を唱えています。
 被爆者である限り救うべきだという被団協の考えは分かるが、現実的に早く、一人でも多く救うべきだというのが私の発想。少しでも被団協側に歩み寄る案を、とは思う。

 ―具体的には。
 今の基準で積極認定する条件の「爆心地から3・5キロ以内で被爆」「原爆投下から約100時間以内に約2キロ以内に入市」というのは科学的論拠に基づいている。この条件に合う人は、反証がない限り自動的に認定する制度を確立させたい。あてはまらない人は個別に当時の行動などをみる。審査加速に向け、体制を強化する。

 (積極認定する)典型症例は現在七つだが、広げるべきだ。例えば腎臓病や糖尿病、胃炎も含めては。がんになってから認定しては重篤化して、救える人も救えなくなる。

 ―被爆者援護法の改正は必要ですか。
 今のままでいいと思う。与党PTの基準は法改正せずに作った。司法も現行法で被爆者を救っている。

 ―厚労省の検討会は今夏に報告書をまとめますが、議連の対応は。
 一つの節目は8月6日だ。安倍晋三首相は前回の在任中、広島で被爆者と会い、認定基準見直しを指示した。今年も首相の方針として救済方針を打ち出してほしい。それを受けて議連では12月までに成案を得て、与党間で合意したい。検討会の議論も検証するが、それにこだわらず、自由に議論する。

(2013年2月24日朝刊掲載)

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