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社説・コラム

天風録 「野球談議」

 互いを「永遠のライバル」と意識し合う。その韓国との一戦が今から楽しみである。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開幕が4日後に迫った。お茶の間や職場で、野球談議に花が咲くことだろう▲初めてWBCが開かれた7年前、首相官邸も日韓戦の話題で盛り上がっていた。当時の小泉純一郎首相と向き合ったのは、韓国から野党代表として来日した朴槿恵(パク・クネ)氏。首相は韓国選手の好プレーを自ら再現してみせ、場を和ませた▲ほどなく雰囲気が一変する。朴氏が歴史認識の問題を持ち出すと、すぐに小泉氏は話題をそらしたという。投げた方は直球ストライクのつもりでも、打ち損じるに違いないと思ったのかもしれない▲小泉氏といえば、初訪米時にブッシュ大統領と交わしたキャッチボールも記憶に新しい。互いを思いやりながら球を放り、しっかりと受け止める。繰り返すうちに、心が通う気になるのだろう▲きのう朴氏が大統領に就任した。演説で日本との問題には踏み込まなかった。ただ自叙伝では「心を打ち明ける対話を続けたら、少しずつ解決すると信じる」とつづっている。まずは安倍晋三首相と言葉のキャッチボールを。

(2013年2月26日朝刊掲載)

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