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社説・コラム

『スポットライト』 元気と笑顔を渡せた

東日本大震災被災地へ花の種を届けた桜江小教頭

石橋邦彦さん(51)=浜田市

 島根県江津市桜江町の桜江小4年生が住民たちと集めた花の種100袋以上を16日、福島県相馬市へ持参。同校で25日、児童と保護者たちへ報告し「元気と笑顔の『心のバトン』を渡すことができた」と振り返った。

 阪神大震災では募金だけをして「本当によかったのか」と悩み続けた。2012年2月に「子どもたちに現地のありのままを伝えるのが教師の使命」と被災地を訪問。津波で避難した子どもたちの様子を児童に伝えた。関心を示し、花の種を現地に贈る案を考えた4年生に、現地の慈善団体「相馬報徳社」を紹介した。

 相馬市は福島第1原発事故に伴う避難区域に含まれていないが、児童11人が亡くなった小学校や、津波で跡形もなくなった集落もあった。「市民は悲しい気持ちを包んで生きている。胸にずしんときた」

 一方で復興に携わる県外からの人も数多く見た。桜江小には今も花の種が届いている。「継続することに意味がある。お互い負担にならないようにして、ずっと続く活動を模索したい」(黒田健太郎)

(2013年2月26日朝刊掲載)

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