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被爆れんがやガラス配置 己斐小に計画 原爆慰霊モニュメント

■記者 藤村潤平

 原爆投下当時、広島市西区の己斐国民学校(現己斐小)に在籍していた元児童が、校庭に建立する原爆慰霊モニュメントに、被爆したれんがやガラスを組み込む計画を進めている。「ここで荼毘(だび)に付された身元不明者を悼むため、卒業生以外の人々にも広く携わってほしい」と被爆資料の提供を呼び掛けている。

 モニュメントは来夏の完成を目指す。広島市立大の若山裕昭芸術学部長が設計した。

 被爆した市の上空に折り鶴が浮かぶデザイン。原爆の熱線を浴びた旧市庁舎の大理石を敷き、銅製の折り鶴を地上1・5メートル前後に掲げる。碑文には広島市出身の新藤兼人監督が書いた「祈り」の文字も刻む。

 提供を受けた被爆資料は、台座の大理石の間にモルタルで埋め込む。一辺が約20センチまでのれんがやコンクリート、ガラス瓶などを想定している。提供者の名前は、背後に置くステンレス製のタイムカプセルに保存する。

 己斐小は被爆直後に救護所となり、被爆4年後に校庭から遺骨2千体が掘り出された。平和記念公園(中区)の原爆供養塔に納められている。世話人の一人、西区の柚崎博さん(75)は「肉親にみとられることさえかなわず亡くなった人の無念さを後世に伝え、平和を願う心を世界に発信したい」と協力を求めている。蓮照寺Tel082(271)4641。

(2009年10月25日朝刊掲載)

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