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作家・竹西寛子さんが講演録 自身の被爆と創作活動語る

■記者 伊藤一亘

 広島市南区出身の小説家、竹西寛子さん(78)の初の講演録「言葉を恃む」が岩波書店から刊行された。1996年10月に県立広島女子大(広島市南区)であった「私の広島と文学」など、91年から2005年まで全国で行った9つの講演を文章にして収めている。

 05年11月には、地元の原民喜研究グループ「広島花幻忌の会」の招きで、広島市中区の世界平和記念聖堂で「原民喜『夏の花』の喚起」と題して講演した。「夏の花」を「優れた文学の在り方を示す喚起力が魅力」と論評。

 自身の被爆体験と創作活動について、「正気を保つにはどうすればいいのかというほどの衝撃の中で、平穏を取り戻すために言葉にすがった」と説明し、「何かを書くということは、何を書かないかということだ」とも語っている。

 東京都江東区の芭蕉記念館開館10周年や、大分市の野上弥生子賞での記念講演など、古典詩歌をテーマに語った記録も、加筆、修正して収録する。

 四六判、212ページ、2520円。

竹西寛子(たけにし・ひろこ)

 作家。日本芸術院会員。川崎市在住。古典文学と現代文学、創作と評論を往還しながら活躍を続ける代表的女性作家。 県立広島第一高女時代の被爆体験を踏まえた小説「管絃祭」でも知られる。

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