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社説・コラム

天風録 「節電倦怠期」

 「3日・3月・3年」としばしばいわれる。仕事に行き詰まったり、怠けがちになったりする時期。熱意にあふれていた初心に帰り、踏みとどまれるかどうか。そういえば、わがままになった夫と妻の怒りを歌ってヒットしたのは「3年目の浮気」だった▲こちらの3年目はどうだろう。政府はきのう節電を国民に呼び掛けた。わが心の内にある「3のジンクス」を感じた人も多かろう。原発に頼らない暮らしをとの意気込みに、かつてほど燃えているかと▲中国地方では今月も電気代が上がった。安倍政権は華々しく3本の矢を放ったものの、景気回復の果実が津々浦々に届いたとも感じられない。ここは財布のためにも、賢い節電の知恵はないものか▲一家の電気代が月500円。達人主婦のノウハウを描いた漫画本がある。自宅にはテレビも冷蔵庫もない。生ものは必要な時だけ買えばいい。ミカンの皮は冬に干し、火を付ければ蚊取り線香に。その徹底ぶりには舌を巻く▲祖母の時代の暮らしを再現すればするほどに、はまったと達人はいう。まねできなくても参考にしたい。エコで、懐かしく、熱中症対策も万全―。三拍子そろう節電を初心に帰って。

(2013年7月2日朝刊掲載)

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