×

社説・コラム

参院選 あすへの1票 広島県9条の会ネットワーク事務局長・弁護士 石口俊一さん

石口俊一さん(61)=広島市中区

96条改正の是非 最大の争点

 改憲、原発の在り方、経済政策…。参院選の争点の現場で、さまざまな課題に取り組む中国地方の人々に、1票に込める思いを聞いた。

 憲法96条で衆参各議院の3分の2以上の賛成を求めている改憲の発議要件。最高法規を変えやすくするこの条文の改正の是非は、参院選で最大の争点ではないか。しかしながら有権者の関心は低い。景気回復や雇用対策と比べ、脇に置かれている。暮らしとは縁遠いと捉える人が多いのだろう。

 自民党は既に、改憲草案で発議要件を「過半数」にすると打ち出している。戦争放棄を定めた9条も変わる。日本は事実上、戦争が「できる」国になる。国民の権利や自由を制約する記述もある。

 一方で、民主党や公明党のように96条改正の是非があいまいな党もある。これまで改憲を許してこなかった「3分の2」の持つ意味を、有権者がじっくり考える機会を得ているとは言い難い。

 全ての政党、候補者はスタンスを有権者に明確にすべきだ。「この国のかたち」を大きく変える問題を正面から取り上げるのが、国会議員を目指す者の務め。そこに踏み込まない候補者は、ずるいと思いませんか。(門脇正樹)

(2013年7月9日朝刊掲載)

年別アーカイブ