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社説・コラム

参院選 あすへの1票 広島大大学院教授 秀道広さん

秀道広さん(56)=広島市南区

96条改正 実現性ある平和を

 憲法は施行以来、一度も改正されていない。衆参各議院の3分の2以上という、高すぎる改憲の発議要件を緩和する96条改正が必要だ。憲法は日本で生きて良かったと思える国をつくるための手段であり、不磨の大典ではない。

 改正手続きを先行させ、後から内容を変えるのはずるい、との護憲派の主張には同意する。一括で改正できないにしろ、どの部分が問題かの議論はもっとあっていい。

 例えば戦争放棄を定めた9条。厳格な文民統制の下で自衛隊を軍隊と位置付け、現場の判断で動けるようにするべきだ。集団的自衛権も認め、国力に応じた活動をするのは国際的な責務でもある。領土問題でも、他国の軍事的挑発を許さない抑止力になる。

 国の暴走を止めるのが憲法だが、国と国民が協力して日本を豊かにするには、現状のままでいいのか。国家対個人という二元論にこだわり、思考停止してはいけない。実現性のある平和をつくるために、政党や候補者の訴えを見定めたい。

(2013年7月10日朝刊掲載)

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