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社説・コラム

『この人』 広島市議会の第76代議長に就任 碓井法明さん

「市民益のため」が信条

 「市長に対して是々非々を貫く」。6月28日の議長選でこう訴え、52人中38票を得て就任した。所属する最大会派、自民党保守クラブの主導で、松井一実市長が補正予算で提案した旧市民球場跡地(中区)の調査費を減額した日だった。

 「昔の議員は尊敬されていた。今は誰も就きたがらない」。議会に向けられる厳しい視線。それを感じるがゆえに「市民益のために働く」の信条を新たにする。就任後、委員会での説明資料の事前配布を早めるよう市に求めた。「同じ材料を持ち、時間をかけて審査に臨む」と説明する。

 調査費減額では、跡地にサッカー専用スタジアム建設を求める市民の声を踏まえ、市が「文化芸術」「緑地広場」の両機能の絵図面作りを先行するのに異を唱えて会派で統一行動を取った。

 時に大勢にくみしない選択もしてきた。秋葉忠利前市長が五輪招致を打ち出した際、自民党議員が反発する中、活性化を理由に「やろう」と言った。「奔放さは持ち味。今後は調整役として慎重な言動も必要」(中堅議員)との声もある。

 実家は東区の浄土真宗の寺。中央大を卒業後、家業の福祉施設園長を務めた。1983年、地元で推されて出た市議選で初当選し、連続8期目。妻智紗子さん(68)との散歩中も防犯灯が消えていないか確認するほど地域への思いは強い。

 3歳の時、実家で被爆した。「広島市民の代表として核兵器廃絶を訴えるのは使命」。8月6日の平和記念式典の式辞に思いを込めるつもりだ。兄は被爆者医療に力を尽くし、昨年亡くなった静照さん。(岡田浩平)

(2013年7月19日朝刊掲載)

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