核廃絶「リーダー都市」に30都市指定構想 平和市長会議会長・松井広島市長に聞く
13年7月29日
「20年までに核廃絶」堅持
8月3~6日に平和市長会議の総会が広島市中区の広島国際会議場で開かれるのを前に、会長を務める松井一実市長が26日、中国新聞のインタビューに応じた。核兵器廃絶を目指す動きを世界の各地域でけん引する「リーダー都市」に30都市を指定する考えを示し、2020年までの廃絶という目標も堅持するとした。(岡田浩平)
―加盟都市は5600を突破しました。数の力をどう生かしますか。
加盟都市から費用負担を求めてこなかったので、数はどんどん伸びた。それと同時に、核兵器廃絶と恒久平和に向け、具体的にどんな行動しているか、中身が問われてきた。
そこで私が注目したのは欧州での動きだ。地域課題も取り込み、熱心に活動している加盟都市がある。現在の役員都市(19都市)に加え、意欲的な都市も取り込み、計30都市ぐらいに「リーダー都市」になってもらう。
都市の思考回路や置かれた環境が似ていれば、組織として訴えに説得力が高まり、理解も得やすいと考える。
―「2020ビジョン」で掲げる15年の核兵器禁止条約の締結は、かなり難しい情勢ではないですか。
すぐに実現すると思う人は世の中にほとんどいないだろうから確かに厳しい。ただ目標を掲げ、加盟都市の了解を得ながら進めている活動をやめるわけにいかない。やるしかない。15年を迎えた時、次に向けた議論になる。20年までに廃絶する目標は堅持する。
―厳しい中で廃絶に向けた新たな手だてはありますか。
核廃絶の道筋に、常道はない。みんなが方法論を考え、それぞれの局面で実践する。核兵器は「絶対悪」という考えを共有し、連携する必要もある。
―国際社会には、核兵器の非人道性に焦点を当て、非合法化を目指す動きがあります。どう評価しますか。
非人道性という言葉は、ヒロシマの思いそのものだ。今秋に国連総会もある。この考えが多くの人に広がり、次の取り組みにつながるようなメッセージを発したい。核抑止力という脅しでつくり上げた平和でなく、国同士が信頼関係を築くべきだ。そんな新しい枠組みを訴えていきたい。
平和市長会議
1982年に広島、長崎両市長の呼び掛けで発足した「世界平和連帯都市市長会議」が前身。広島市長が会長、長崎市長は副会長を務める。今月1日現在、157カ国・地域の5664都市が加盟。2020年までの核兵器廃絶を目指す「2020ビジョン」を掲げる。
(2013年7月27日朝刊掲載)