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社説・コラム

岸田外相インタビュー 「核軍縮への思い新たに」 

 岸田文雄外相に、広島市の平和記念式典に参列する思いや、非核外交の課題を聞いた。

 ―外相として初めて「原爆の日」を迎えます。
 広島市民にとって8月6日は特別な日。市出身の初の外相として、核軍縮に積極的に取り組む思いを新たにしている。努力をまだまだ積み重ねていかなければいけない。

 ―被爆地出身の外相としての発言は、国際的な影響力があると感じますか。
 核軍縮という世界規模の課題は、国際会議や2国間の会談で当然議論になる。その際に広島出身という話をすると、やはり反応が違う。各国を説得し、リーダーシップを発揮する際、大いにアピールしたい。同時に地元からの期待を受け、責任の大きさを感じる。

 ―スイス・ジュネーブでの核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第2回準備委員会で発表された核兵器の人道的影響に関する共同声明に日本政府は賛同せず、被爆地から批判の声が上がりました。
 核兵器の使用が、直後の被害だけでなく、将来世代にも耐え難い損害をもたらすという認識は全く同感だ。一方で、わが国を取り巻く厳しい安全保障環境を考え、表現ぶりの調整を指示したが、間に合わなかった。

 声明の中心メンバーのニュージーランドやマレーシアの外相と先日会談した際、日本の立場を説明した。次回の声明に向け、しっかり準備したい。

 ―核兵器のない世界に向け、どう取り組みますか。
 日本を含む非核保有国10カ国でつくる軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)が大変重要だ。その外相会合が来年4月に広島市で開催される。各国の外相に被爆の実相を伝えると同時に、被爆地の強い思いを世界に発信する格好の機会になる。核兵器のない世界に向けた動きをしっかりリードしていきたい。(藤村潤平)

(2013年8月1日朝刊掲載)

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