×

社説・コラム

天風録 「51番目」

 意味深な数字かもしれない。米政府が存在を認めたネバダ州の「エリア51」。単に51番目の区画というのが命名理由らしいが、米国の州より一つ多い数。架空の存在を連想させ、隠し事にはもってこいだったろう▲敵のレーダーをかいくぐるステルス戦闘機などの開発拠点とされる。だが機密を覆えば覆うほど、さまざまなうわさ話の種に。いわく、墜落したUFOを運び込んだようだ、宇宙人と共同生活しているのではないか、など▲基地の存在は広く知れ渡るところとなり、もはやこれまでと観念したらしい。だが認めたら認めたで、新たな臆測を呼んでいる。UFOを信じる人たちからは、ひそかにどこかへ移したに違いないと▲こちらの理由もいまひとつ分からない。漫画「はだしのゲン」を子どもたちから遠ざけた松江市教委である。旧日本軍の行動についての描写が過激だと説明するが、連載が始まってことしで40年にもなる。なぜ、今なのか▲原爆投下を告発するゲンの恨みから目をそらすことは、核兵器を必要悪とみなす考えにつながる。それを臆測とは言い切れまい。米国に追従する「51番目の州」とやゆされてきたのは、どこの国だったか。

(2013年8月19日朝刊掲載)

年別アーカイブ