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社説・コラム

『スポットライト』 反戦の願い 自由に表現

益田平和美術展を主催する元美術教師

田中賢さん(78)=益田市高津

 「ジャンルにとらわれず、方法も自由。のびのびと表現できることが『平和』なんです」。戦争のない世界や反核をテーマにした作品を集めた「益田平和美術展」を2003年から開き、ことしで10回目を迎えた。

 県西部で長く美術教師を務めた。退職後は絵手紙教室の講師として、江津市以西で指導に当たる。美術展には、かつての教え子や絵手紙愛好者が作品を寄せる。「中高年の出品が大半。若い人がもう少し参加してくれたらね」と苦笑する。

 平和を意識した創作活動を始めた契機は、1980年代に勤めていた津和野中での「平和ポスター」の制作だった。「勉強が苦手な子どもも、原爆の恐ろしさを伝えたら、はっとさせるような作品を描いた」。戦争を憎み、平和を愛する気持ちを美術を通じて老若男女に伝えてきた。

 「灯火管制やひもじい思いは記憶にある」と、益田で過ごした戦時中を振り返る。「益田には、広島で被爆した人も多い。美術を通じて歴史も語り伝えたい」と力を込めた。益田平和美術展は1日まで、益田市常盤町のキヌヤ益田ショッピングセンターで。無料。(石川昌義)

(2013年9月1日朝刊掲載)

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