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社説・コラム

『書評』 郷土の本 復興願う詩に被爆体験重ね

 広島共立病院名誉院長で、日本現代詩人会会員の御庄(みしょう)博実さん(88)=広島市安佐南区=が、詩集「川岸の道」を思潮社(東京)から出版した。東日本大震災の復興を願う作品など17編を収めている。

 「(略)凡凡とすぎる一日がどれほどのものか/大震災(二〇一一・三・一一)後の時間を振り返って思い知る//そのような凡凡の日日が/大震災後の東北にいつ帰って来るであろうか/今なお離散した家族と 残った夫と/一家の生活を背負って耐えている日々/天災とはいえ あまりにも無残な爪痕である/昨夕 気仙沼での『人情商店街』復活の放映を見た/思わずこみ上げるものに/僕の戦後が重なった(略)」(「川岸の道」から)

 被爆者の医師として、福島第1原発事故への憤りをつづった作品も目を引く。御庄さんは「被爆者として次世代に伝えたい言葉をつむいだ」と話している。93ページ。2310円。

(2013年9月8日朝刊掲載)

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