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社説・コラム

ピースウィンズ・ジャパン きょう広島県神石高原に本部移転 大西代表理事に聞く

 世界の紛争・被災地の支援活動をしているNPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が1日、本部を東京都から神石高原町近田に移す。大西健丞(けんすけ)代表理事(46)に狙いや意気込みを聞いた。(杉本喜信)

 ―移転の理由は。
 国内の災害支援をスムーズにするためだ。きっかけは東日本大震災。東京は電話も通じなかったから町内の災害救助犬訓練センターを連絡拠点に支援を始めた。2010年に夫婦で移り住み、町内へのコンビニ誘致やイベントにかかわり、いろいろな縁もできた。

 ―規模は。
 東京の職員の半数に当たる約10人が新たに来る。国道182号沿いの事務所の一部約100平方メートルを借りて、海外事業も統括する。住まいも町内に確保した。救助犬関連の職員を合わせると20~40歳代の20人余りになる。

 ―新たな活動は考えていますか。
 国内の山間地などの地域づくりに踏み出す。神石高原町は人口減と高齢化が進んだいわば日本の課題の先進地。ここで観光や農業、福祉、医療などの改善事業に順次取り組む。行政ではカバーできない部分もある。経験を積み、他地域の再生にも応用したい。

 ―具体的には何を。
 まず救助犬訓練センターがある仙養ケ原などの観光事業を伸ばす。難民キャンプ体験など研修プラン提供のほか、大手企業の協力で2億円余りの基金を設け、新事業に出資する準備を進めている。資金調達や人材投入など海外支援の経験を生かして地域をもり立てたい。

ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)
 1996年設立。被災地などに物資を届ける緊急支援や自立支援を手掛ける。海外はイラク、南スーダンなど10カ国で活動中。宮城県気仙沼市と東京都千代田区にも事務所を置く。職員は約50人で2012年度の会計規模は約20億円。

(2013年10月1日朝刊掲載)

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