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社説・コラム

『ひと・とき』 イサム・ノグチ日本財団理事長 和泉正敏さん

石の美 生きた空間に

 日系米国人の彫刻家イサム・ノグチ(1904~88年)が高松市牟礼町に構えたアトリエで、石彫のパートナーを務めた名工。「イサム・ノグチ~その創造の源流」を14日まで開催中のひろしま美術館(広島市中区)で思い出を語った。

 初めての作業で、ノグチから「模型はただのヒント。石が生きていないといけない」と告げられる。ノグチの創造力と、素材の石との間で格闘する日々の始まりだった。

 「美はその場から創るもの」もノグチの言。アトリエの場所は、景観ではなく石切り場への近さなど効率最優先で決めたが、ノグチ独特の美意識に満ちた空間に。今は庭園美術館として活用し、館長を務める。

 「石の良さを学び、世界への扉になるような、生きた美術館でありたい」(道面雅量)

(2013年10月2日朝刊掲載)

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