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社説・コラム

美術散歩 時空超えつながる記憶

◎岡部昌生・柴川敏之展―未来の考古学

14日まで。広島市中区のギャラリーてんぐスクエア

 考古学にも似た手法で独創的な表現を試みる美術家2人の展覧。未来から現代を映し見るような作品が時空のつながりを体感させる=写真。

 岡部昌生さん(北海道)は30年近く広島に通い、原爆の痕跡を作品化してきた。今回は「土の記憶」と題した3作品を出品。広島市中区の本川小校庭で掘り出した土やガラス片を36枚の紙に流し固めた大作のほか、福島を襲った3・11の津波跡が残る壁紙(18枚組)も。土の色合いや質感が土地に刻まれた歴史を訴えかけてくる。

 柴川敏之さん(岡山市)は「2000年後から見た現代社会」をテーマに9作品を展示。携帯電話や招き猫が特殊な絵の具で彩色され、まるで地中深くから発掘した遺物のようだ。中でも「地球儀の化石」の表面には穴がいくつも開く。核実験などがあった場所を表し、現代を見つめ直す仕掛けも随所にひそむ。

 6日午後1~3時、柴川さんのワークショップが中区の広島県立美術館である。(林淳一郎)

(2013年10月5日朝刊掲載)

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