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被爆前の原爆ドーム 日米の大学 CGで再現へ 

■記者 金崎由美

 原爆の爆心地近くで壊滅的な被害を受けた広島市中区、旧広島県産業奨励館(原爆ドーム)の被爆直前の姿を、日米の大学が共同してコンピューターグラフィックス(CG)で再現する。米国側はハリウッド映画界に人材を送る南カリフォルニア大映画学部が協力。同館の内部も含め、精緻(せいち)に描き出す。

 旧中島地区(現平和記念公園)一帯の復元CGづくりに取り組む映像製作会社社長、田辺雅章さん(71)=西区=が米国側にも働きかけて実現した。

 南カリフォルニア大のワインバーグ教授らが産業奨励館の外観を描くほか、早稲田大理工学術院の中川武教授のグループが館内や周囲の街並み、東京大大学院の広瀬通孝教授のグループが画像処理やバーチャル・リアリティー(仮想現実)のシステム構築を担当。研究員や大学院生らも含め日米の約30人が携わり、最先端の技術で建物の経年劣化なども忠実に再現する。

 関係者はこのほど、日米間をテレビ会議で結んで第1回の意見交換をし、今後の作業計画を協議した。

 田辺さんは奨励館の再現を柱に旧中島地区を約60分間のCG映画で「復元」する構想で、既に関係者の証言聞き取りも進めている。来年春には約30分間の短縮版を完成させ、同5月に米ニューヨークである核拡散防止条約(NPT)再検討会議での上映や、オバマ米大統領への寄贈を目指す。

 田辺さんは「将来の国際平和を担う若者たちも加わる。その意義は計り知れない」と期待している。

(2009年11月3日朝刊掲載)

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