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「プルトニウムを抽出」 北朝鮮、核兵器の生産示唆

 北朝鮮は3日、今春から再稼働させた寧辺の核施設で約8千本の使用済み核燃料棒の再処理を「8月末までに順調に終えプルトニウムを抽出した」と朝鮮中央通信を通じ明らかにした。

 さらに「抽出されたプルトニウムを核抑止力強化のため武器化するのに注目すべき成果があった」と説明、核兵器生産に使用したことを強く示唆した。同通信は、プルトニウムの抽出量には触れなかったが、専門家らは核兵器1、2個に相当する8キロ前後が抽出されたとみている。

 北朝鮮は9月3日、当時米国が務めていた国連安全保障理事会議長に対し、ウラン濃縮とプルトニウム抽出が「最終段階にある」と表明した。

 抽出完了時期は今回の報道とややずれるが、核兵器増産の構えを強く打ち出し、3回目の核実験への懸念も高めることで、北朝鮮との直接協議へ早期に乗り出すよう米国を揺さぶる思惑があるとみられる。

 同通信はまた、自力で建設する軽水炉発電所用の核燃料確保に絡み、「ウラン鉱石生産で画期的な成果が得られた」と紹介、ウラン濃縮による核開発を進めていることもあらためて示唆した。

 北朝鮮は6カ国協議の合意に沿って行った昨年の核計画申告で、抽出したプルトニウムの総量を約38.5キロと申告、今年初め訪朝した米研究者には30.8キロを兵器化したと説明した。

 今回のプルトニウム抽出で北朝鮮が保有する核兵器は5個前後になるとの見方も出ている。

(共同通信配信、2009年11月4日朝刊掲載)

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