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長崎平和研閉所へ 10年度内 ウェブ組織に転換模索

■記者 吉原圭介

 被爆体験の継承や平和に関する研究を続けてきた長崎平和研究所が2010年度内に閉所することが4日、分かった。財政難などが理由で、2010年1月の総会で正式に決める。

 研究所は1997年1月、被爆体験を基に世界平和を目指す研究拠点として、元長崎総合科学大教授の鎌田定夫氏が私財を投じて設立。毎年、平和講座を開催し、年2回の研究冊子や年4回の機関誌を発行してきた。

 しかし、寄付と会費収入(賛助会員年1口5千円、研究員同1万円)に頼る運営は厳しく、鎌田氏は2002年に死去。その後の活動を支えた妻信子さん(76)の体調不良も重なり、9月下旬の運営委員会で閉所を申し合わせた。

 現所長の川原紀美雄長崎県立大名誉教授(69)によると、ウェブを活用した「バーチャル研究組織」への衣替えも模索するという。「残念だが、今の時代に即した身軽で機動的な組織に生まれ変わりたい」とし、そのアイデアを募っている。

(2009年11月5日朝刊掲載)

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