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社説・コラム

私が知事だったら 広島県建築士会会長 錦織亮雄さん

 私が知事だったら―。まちづくりや安心・安全、医療・福祉など、各分野から広島県政を見つめる人たちに、知事選で選ばれる新知事への注文や地域活性化のアイデアを聞いた。

「市民の勢い」を醸成

 68年前に原爆に焼かれた広島は、草木も生えないとされた街に生活をよみがえらせた。行政だけの主導ではなく、「みんなで街をつくろう」というエネルギーと夢があった。

 今はそれが、あまり伝わってこない。JR広島駅(南区)周辺や広島大本部跡地(中区)の開発も区分けが小さく、全体像がぼやけている。街をどうしたいか、統一した思いが見えてこない。

 みんなが共通の夢を抱きにくい時代。必要なのは「市民の勢い」だ。行政はそれを助ける役目にある。私が知事なら、多様な人と対話を重ね、その勢いをつくりたい。それこそ100年先に耐えうる街の原点となるだろう。

 平和行政も広島県の大事な仕事だ。私は7歳のとき白島中町(現中区)で被爆した。国と対等な立場で、核兵器廃絶に向けて、政府が困るくらい発言してほしい。常にヒロシマを意識させ国の背中を押すことが被爆地の使命だから。(加納亜弥)

(2013年10月29日朝刊掲載)

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