×

社説・コラム

永田町発 秘密保護法案 民主最高顧問 江田五月氏(参院岡山) 

報道の萎縮になお懸念

 今国会最大の焦点である特定秘密保護法案。与党は野党と修正協議を進め、今週中に衆院通過を目指す方針だ。これまでの審議で懸念や疑問点は解消されたのか。中国地方選出の各党幹部たちに聞いた。

 ―民主党は19日、秘密保護法案の対案を決定し、関連法案を衆院に提出しました。
 対案の中心は、特別安全保障秘密適正管理法案。秘密指定する対象を外交と国際テロに関する情報に限定し、30年公開原則の徹底を定めた。刑罰は政府案の懲役最長10年から、5年以下に短くするなどの内容だ。

 確かに国家には秘密にすべき情報はある。しかし、現行の国内法で対応できるものは多い。政府の主張は針小棒大に感じる部分もある。対案は政府案の懸念を除き、現行で足りない部分を補うのが目的だ。

 ―対案で報道・取材の自由が制限される恐れはありませんか。
 対案では、秘密を漏えいした公務員らに処罰対象を限定し、報道関係者を除外する規定を盛り込んだ。政府案は不当な方法でない限り、報道・取材の自由に配慮するというが、何が不当とされるのか定義は今も曖昧なままだ。報道機関が萎縮しかねない。

 ―与党と日本維新の会、みんなの党の修正協議をどうみますか。
 修正されても「知る権利」の侵害や恣意(しい)的な秘密指定に対する懸念は拭えない。例えば、みんなの党は、必要な場合に首相が秘密指定の改善を指示する権限などを盛り込むよう与党に要求したが、それで安心できるか。行政機構の中心にいる首相自身が、秘密主義に陥る危険性は高いからだ。うわべだけでの修正では認められない。

 ―与党は週内の衆院通過を目指しています。
 民主党が対案を出すのが遅いという批判もあるが、衆院で審議が尽くされたと言えない。そもそも与党が臨時国会の時間を限り、審議の「土俵」を小さくした責任は重い。

 政府案が成立すれば、政府方針に国民が口を挟みにくい、風通しの悪い社会になる。国民がより多くの情報をもとに政府の政策を議論する方が、健全で正しい選択ができるはずだ。(坂田茂)

(2013年11月20日朝刊掲載)

年別アーカイブ