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社説・コラム

永田町発 秘密保護法案 みどりの風・亀井静香氏(広島6区) 

国民の共感は得られず

 ―特定秘密保護法案の是非は。
 国家だけでなく、企業や団体、個人も絶対に守られるべき機密はある。「日本はスパイ天国」といわれ、私自身、警察庁に勤務していた時代に苦労した。

 しかし、法律整備だけで問題は解決できない。まず機密情報を得ようとする人間を把握し、摘発する機能を強化しなくては。何より「知る権利」に影響がある法律をつくるには国民の支持が必要。かつての治安維持法を連想してしまうような法案だ。国民の共感は得られていない。

―国民の共感が得られていないと思うのはなぜですか。
 政府が情報公開の努力をしていないからだ。現に環太平洋連携協定(TPP)交渉について国民が知りたい情報を政府は示していない。国民の生活全般に直接影響を与える問題にもかかわらずだ。外交交渉だから全部出せと言わないが、メリット、デメリットはもっと知らせないと。

 安倍政権は、国民が知りたいことを隠し、もっと秘密を守る法律をつくろうと言っているようなもの。情報公開し国民の信頼を得れば、国民は法案に同意する。

 ―与野党の修正協議は終始、与党ペースで進みました。
 野党側の党利党略を感じる。「(支持率が高い)安倍政権に反抗すると国民に背を向けられる」とでも思っているのかね。

 国会議員は国家、国民のために頑張っていれば求心力を得る。でも、今の日本人は「生体反応」を失っている。痛みに鈍感になって何も訴えず、権力者のなすがままになっていないか。だから議員は国民より首相の機嫌を損ねちゃいかん、となる。その方が手っ取り早いから。

 ―修正協議は、野党再編の機運が高まらない現状を映し出しているように見えます。
 野党の中堅、若手が「決起してくれ」と言ってくる。だが今の政治家は政策を説明するのは得意だが、実行することに政治生命を懸ける覚悟がない。(与党に対抗する)ふりをして法案を通すようじゃ駄目だ。(城戸収)

(2013年11月24日朝刊掲載)

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