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社説・コラム

天風録 「決められる?政治」

 見通しの甘さを自戒しなければなるまい。1カ月前、コメ減反の見直しについて社説で取り上げた。何しろ40年以上、農政の屋台骨をなした政策である。政府の存廃判断は年内いっぱいかかると踏んでいたが…▲その減反を死語にするつもりなのだろう。きのう政府は、5年後をめどに廃止すると正式に決めた。与党内外にくすぶる慎重論を押し切り、首相官邸が仕掛けたスピード決着とされる。これこそ「決められる政治」と言わんばかりに▲置いてけぼりになるのは国民だ。特定秘密保護法案である。おととい福島であった公聴会では反対や慎重審議を求める声ばかり。ところが一夜明け、あれよあれよ。衆院特別委で可決され、夜の本会議へ▲かつての政権党は「決められない政治」と散々批判された。それが野党に転じた今や、「物言えば唇寒し」の心境か、現政権にブレーキをかける意気込みが見えない。「第三極」の面々にしても、法案見直し役を自任したのは分かるが、結局は訳の分からない修正に▲多数与党のスピード感を選んだのは確かに国民自身である。とはいえ、審議打ち切りはいかにも拙速ではないか。「特定秘密」こそ死語にしたい。

(2013年11月27日朝刊掲載)

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