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社説・コラム

永田町発 普天間移設 課題は 前衆院外務委員長・河井克行氏

沖縄の声 より広く聞く

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題がヤマ場を迎えている。名護市辺野古への移設の前提になる政府の埋め立て申請に対し、沖縄県の仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事が12月以降に可否判断する見通しで、来年1月には名護市長選も迫る。沖縄問題に取り組む自民党の河井克行・前衆院外務委員長(広島3区)に現状や課題を聞いた。(城戸収)

 ―県外移設を掲げていた沖縄県を地盤にする自民党国会議員や、党沖縄県連が、辺野古移設の容認へと方針転換しました。
 政府、自民党の方針とのねじれ解消は、県外移設を主張する知事に埋め立てを承認してもらうための必要条件だが、十分条件ではない。移設を前進させるには政府、党本部が沖縄の声により広く、深く耳をすます必要がある。

 ―名護市長選は、移設容認派が推す自民党県議と、移設推進を掲げる前市長が立候補を表明し、保守系が分裂状態になっています。
 2人に何度も会ってきたが、辺野古移設の公約に関する温度差だけでなく、互いの感情的なもつれも背景にある。一本化のめどは立っていない。

 ―名護市長選の情勢が知事の判断に影響を与える可能性は。
 安倍政権は知事に年内に判断してもらいたいと考えている。ただ、移設はそもそも日本の安全保障にかかわる問題。市長選と知事の埋め立て判断は切り離して考えるべきだと思う。

 知事の判断がどうなるかは分からない。仮に埋め立てを認めたとしても、沖縄に政治的な混乱は起きる。来年末には知事が任期満了を迎える。沖縄は既に「政治の季節」に入っている。

 ―県外移設を求める沖縄の声は大きい。
 民意は大切だが、移設が前進しなければ「世界で最も危険な飛行場」と言われる普天間飛行場の固定化につながる。安倍政権でようやく修復した日米関係に多大な影響も及ぼす。安倍政権にとって移設問題は求心力を左右する試金石になる。

 ことしに入って沖縄県を14回訪れ、生の声、正確な情報を捉えようとしてきた。日本の安全保障を担保し、沖縄県民の負担軽減を図るには、日本全体で沖縄の現状に思いを寄せなければならない。

(2013年12月1日朝刊掲載)

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