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原爆症法案の成立約束 首相 政府提案も検討 参院予算委

■記者 岡田浩平

 原爆症認定集団訴訟で、鳩山由紀夫首相は6日、敗訴者救済のための基金を設ける法案を開会中の臨時国会で成立させるべきだとの認識を示した。政府・与党は30日の会期末に向け、政府提案か、議員立法かを含め検討を急ぐ。一方、自民党の舛添要一前厚生労働相も今国会に法案を提出する考えを明らかにした。

 基金の創設は8月6日に政府と原告側の日本被団協が交わした訴訟の一括解決のための確認書に盛り込まれ、敗訴者に解決金を支払うのが目的。全国原告団、弁護団は基金が具体化すれば一審で敗訴した原告の控訴を取り下げる方針を確認しており、基金創設が各地の訴訟終結へ最後のハードルになっている。

 首相は記者団に対し「可能ならば今国会で成立をするべきだ。時間がかかり過ぎている」と表明。確認書通り議員立法に委ねるのか政府が提案するのかについては、「これから党の仲間とよく相談して決める」と述べた。基金の規模など法案の具体内容には踏み込まなかった。

 首相はこの日の参院予算委員会でも基金の法案について「どういう形であれ提出して成立させたい。約束する」と明言。その上で「今まで行政がなかなかできなかった。新しい政権なら壁を乗り越えられるかもしれない」と、政府提案も検討する考えを示した。

 ただ基金をめぐっては、麻生内閣で予備費などを使って設置することも検討したが「司法が原爆症と認めなかった原告を行政が救済するわけにいかない」と官僚が反発。議員立法に委ねた経緯がある。

 予算委では舛添氏も「できれば今国会に私が(法案を)提出したい」と表明。その後、記者団に対し、基金の規模や対象者など具体的な内容を党内議論などを経て詰める考えを示した。

 今後、法案の内容や提出方法をめぐる折衝が政府と民主、自民両党の間で本格化するとみられる。全国原告団の山本英典団長は「敗訴者も含めた原告の全員救済は訴訟の全面解決に不可欠だ。早く法案を成立させてほしい」と期待している。

(2009年11月7日朝刊掲載)

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