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在韓被爆者 まず6人に健康手当 広島市、月末に支給方針

■記者 東海右佐衛門直柄

 在韓被爆者への健康管理手当の未払い問題で、広島市が民間資料に基づき、在韓被爆者6人(うち2人は故人)分約660万円を11月末に本人や遺族に支払う方針を決めたことが6日、分かった。韓国原爆被害者協会の金龍吉(キムヨンギル)会長を9日に市役所に招いて説明する。

 この問題では、同協会と、在韓被爆者渡日治療広島委員会が昨年7月、同委員会の事業で渡日治療を受けた約300人分の保存資料を広島市に提出し、支給を要請。市側は民間資料に基づく初の支給に前向きな姿勢を示していた。

 市援護課によると、市が精査した結果、資料の重複分を除いた被爆者の実数は256人。うち223人については日韓政府の事業でも渡日治療を受け、その記録に基づき同市が支給済みと確認。未払いの可能性があるのは33人と判断した。

 市はまず、他の自治体からも支給を受けていないと確認できた6人分の計660万円の支払いを決定。25日、大韓赤十字社を通じて本人や遺族の口座に振り込む。ほかの対象者にも二重払いとならないことが確認でき次第、支払う方針でいる。

在韓被爆者への健康管理手当の未払い問題  国は被爆者の健康管理手当について1974年の旧厚生省通達により出国した場合の支給を打ち切った。しかし、在外被爆者訴訟の敗訴により2003年に通達を廃止。5年間の時効の主張も07年2月に最高裁に退けられ、全期間にさかのぼって支給することになった。しかし、民間の招きで渡日治療を受けた被爆者は治療の事実を公的に証明できず、一部で未払いが続いている。

(2009年11月7日朝刊掲載)

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