×

社説・コラム

『この人』 日本人初の国連訓練調査研究所(ユニタール)広島事務所長 隈元美穂子さん

「復興」伝える研修を充実

 今月着任し、早速、平和記念公園(広島市中区)を散歩した。1歳の一人娘を乗せたベビーカーを押しながら。「平和を身近に感じ、とても謙虚な気持ちになった。広島だからこそ、できることがある」。被爆から復興を遂げた地に拠点を構える意味をあらためて感じた。

 国連加盟国の外交官や政府関係者の研修機関、国連訓練調査研究所(ユニタール)。広島県の誘致を受け2003年、同公園を望むビルに開設された広島事務所で、初の日本人所長となった。「地元とのつながりをもっと強めたい」。平和構築や復興を学ぶ研修の充実とともに、ユニタールの認知度を上げようと写真展開催などの構想も練る。

 福岡県太宰府市出身。中学生の時から外交官など「国際的な仕事がしたい」と英語の勉強に力を入れた。6年勤務した九州電力でアジア各国から受け入れた技術者の研修に携わり、発展途上国への支援に興味を持った。米国留学を経て01年、発展途上国をサポートする国連開発計画(UNDP)に入った。

 UNDPではインドネシアやサモアなど5カ国で勤務。気候変動への対応策を各国政府に助言した。「国連がどれだけ頑張っても基本的には後方支援。やはりその国の人材が鍵となる」。人を育てる大切さを痛感した。ユニタールが広島事務所長を公募していると知り、手を挙げた。

 好きな言葉は「一期一会」。料理と食べ歩きが趣味で、かき料理を楽しみにする。米国人の夫(48)と長女との3人で安佐南区に暮らす。(金刺大五)

(2014年1月30日朝刊掲載)

年別アーカイブ