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社説・コラム

『この人』 高校生平和大使として核兵器の非人道性に関する国際会議に参加 小桜智穂さん

核脅威訴え 心揺さぶる

 メキシコで13、14日、開催される核兵器の非人道性に関する国際会議に、広島、長崎の市民団体「高校生平和大使派遣委員会」から派遣される。非政府組織(NGO)主催の関連会議ではスピーチの大役を担う。

 「この瞬間も世界中の子どもが核兵器の脅威にさらされている」。そんな不安をどうすれば国際社会に届けられるのか。核兵器関連の資料を読み込み、スピーチ内容を練る日々が続く。

 親類に被爆者はいない。核兵器廃絶を強く思い始めたのは中2の夏。平和学習で被爆証言を聴いたのがきっかけだった。その被爆者は原爆で一瞬にして家族を失った。「目を閉じて、開けた時には家族が死んでいました。みなさん、想像できますか」。わが身に置き換えると体がすくんだ。

 昨春、広島大付属高に進学し、「被爆者の思いを伝えたい」と高校生平和大使に応募。全国19人の仲間と2013年6月から活動を始めた。

 スイスで8月、ジュネーブ軍縮会議を傍聴した。各国代表が自国の立場を声高に訴える姿に「軍縮が進まない理由が分かった」。そして強く思った。「何にも染まってない高校生だからこそ大人の心を揺さぶる力があるはず。行動しなければ」と。

 高校ではバドミントン部に所属。映画も趣味の「普通の高校生」とはにかむ。将来の夢は医師。小学1年の時、大好きだった祖母をがんで亡くした。「祖母の分まで命を救いたい」。核兵器廃絶を訴える被爆者と祖母を重ね、勇気づけられることも。広島市安佐南区で両親、妹と4人暮らし。(岡田浩平)

(2014年2月5日朝刊掲載)

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