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社説・コラム

トップに聞く 基地問題・まちづくり どう向き合いますか 岩国市・福田良彦市長

共存 市の発展に生かす

県と国に支援を要望

 米海兵隊岩国基地を抱える岩国市。2013年末、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のKC130空中給油機を今夏移転させるとする政府要請を受け入れた。17年ごろには、米海軍厚木基地(神奈川県)からの空母艦載機移転も予定される。基地問題を福田良彦市長(43)に聞いた。(野田華奈子)

 ―基地を抱える自治体のまちづくりのスタンスは。
 米軍基地が国防や安全保障政策に必要不可欠なものである限り、日本のどこかで受け入れる必要がある。基地と共存し、市の発展にどう生かすかという現実的かつ前向きな視点で取り組んでいる。

 ―成果は。国は新たな交付金制度も検討しています。
 最近では民間空港(岩国錦帯橋空港)の再開。米軍との共用だが開港1年間は非常に高い搭乗率だった。安心安全で災害に強いまちづくりを目指し、遅れている幹線道路網の整備も山口県や国に要望していく。財政支援は「アメとムチ」という言葉で片付けるようなものではなく、適切な措置だ。

 ―給油機受け入れは沖縄の基地負担軽減につながるのでしょうか。
 沖縄県の高良倉吉副知事からは目に見える形で軽減が図られると感謝された。沖縄でいろいろな声があるのは承知しているが、普天間周辺の負担軽減は事実だと思う。

 ―沖縄の負担軽減を全国で考える環境づくりを訴える狙いは。
 基地の負担や役割を国民に理解してもらうことが大切。安全保障政策がしっかり安定することで、日本経済や国民生活が成り立つ。

 ―地元には新たな負担となりませんか。
 米軍再編計画をめぐっては43項目の安心安全対策や地域振興策の実現に向けて国と協議を継続している。国に対して言うべきことは言う姿勢を堅持しており、何でも岩国にお願いされることはないと思っている。

 ―空母艦載機受け入れの判断基準は何ですか。
 容認するかしないかは、こうした国との協議の先にある。どの程度実現したら容認なのか明確な基準は設けていないが、多くの市民が納得できる結果を出せるよう進めていきたい。

 ―騒音や生活環境など予測しにくい面もあります。
 住宅防音工事でも区域や対象を拡大した。国、県、市でつくる協議会や基地との話し合いで改善を図り、市民の不安感を除きたい。

KC130空中給油機移転
 空中でほかの航空機に給油する任務を負う。1996年の日米特別行動委員会(SACO)で、米軍普天間飛行場から米海兵隊岩国基地への移転に合意。岩国市は97年に容認した。山口県と市は2013年末、容認当初より3機増えた15機を、ことし6月から9月までの間に移転させる政府方針を受け入れた。

(2014年2月11日朝刊掲載)

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