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平和願う講談 紙芝居で表現 「蟻の祟り」 廿日市の画家が作画

■記者 馬上稔子

 原爆を告発する講釈師、緩急車雲助(本名久保浩之)さん(77)=呉市=の自作講談「蟻(あり)の祟(たた)り」が紙芝居になった。来年5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に合わせ、米ニューヨークで披露する計画もある。

 被爆者のかさぶたを食べたアリを通じ、原爆開発や製造にかかわった米国人科学者や軍人ら権力者に発疹(ほっしん)やかゆみが伝染していく筋立て。廿日市市の画家いくまさ鉄平(本名福本英伸)さん(53)が図柄を描き、パソコンで着色。縦30センチ、横40センチの画用紙38枚に仕上げた。

 いくまささんは当初「被爆していない自分が被爆者の『恨み』を表現してよいのか」と戸惑ったという。しかし今年7月、「はだしのゲン」で知られる漫画家の中沢啓治さんが広島市を訪れた際に「恨みを吐露した上で、新たに平和を願うことが大切」と言われ、本格的に描き始めた。

 核兵器のない世界を目指すオバマ米大統領の4月のプラハ演説の場面も挟むなど、原作にアレンジも加えた。そのオバマ氏だけは感染を免れるストーリー。緩急車さんは「アリに託した原爆への恨み、被爆の悲惨さとともに、『許す』という気持ちも感じてほしい」と話している。

(2009年11月10日朝刊掲載)

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