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社説・コラム

『スポットライト』 島根県民との触れ合い 財産

島根県国際交流員 高侖希(コユニ)さん(37)=韓国・ソウル市出身

 「子どもから70、80代まで幅広い世代と交流できたことが財産」。4月中旬で島根県国際交流員として2年の任期を終えるのを控え、島根での成果に県民との触れ合いを真っ先に挙げた。

 印象的な活動の一つが、お年寄りを集めた公民館での料理教室。同僚の交流員が「一流」と評す腕前で、海鮮チヂミや豆腐キムチの作り方を手ほどきした。「島根の人は情が深く、静かにそっと寄り添ってくれるイメージ。2年間、そんな幸せな日々でした」

 県内のお気に入りスポットは、ほぼ毎日通勤した県庁に近い松江城周辺の遊歩道。「散歩すれば緑に癒やされた」という。帰国後は「自然豊かな島根の『癒やし力』を韓国でも広めたい」。

 日韓政府の関係は、両国が領有権を主張する県の竹島(韓国名・独島(トクト))をめぐり冷え込んでいる。だが「(竹島に関連して)嫌な思いをすることは一度もなかった」と言い切る。「問題に関係なく、市民どうしは仲よくできる」と感じた。

 一方で「さらに幅広い交流を生むためには、政府どうしも関係を改善してほしい」と願う。(樋口浩二)

(2014年3月30日朝刊掲載)

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