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日米首脳会談 核・温暖化で理想共有 具体的な道筋は不透明

 鳩山由紀夫首相とオバマ米大統領が日米の目標として表明した「核なき世界」の実現や温室効果ガス削減は、地球規模の課題に立ち向かう高い理想と言える。だが、反対論も根強く、実現への具体的道筋はまだ見えていない。米軍普天間飛行場移設問題やアフガニスタン復興支援でも積み残された課題は多い。

■核軍縮

 日米両国は会談に合わせ 核軍縮に関する異例の共同声明 を策定。外務省幹部は「これまで日米間ではあり得ないテーマだった」と、意義を強調する。

 ただ、オバマ氏が記者会見で被爆地の広島、長崎訪問の可能性に言及したことに対し米国内の受け止めは複雑だ。「核なき世界」の提唱者で、ノーベル平和賞受賞が決まったオバマ氏の踏み込んだ発言を歓迎する声がある一方、原爆投下を正当化する保守派を刺激して政治的立場を揺るがしかねないとの懸念もある。

■温暖化対策

 地球温暖化対策の共同声明 で両首脳が掲げた「2050年までに温室効果ガス80%削減」との長期目標は、7月にイタリアで開かれた主要国首脳会議(ラクイラ・サミット)で合意した目標で新味はない。

 一方で、20年までに1990年比で25%削減するという鳩山政権の中期目標をめぐっては、日本経団連が国民負担や国際競争力の観点から慎重姿勢。「海外に生産拠点を移さざるを得なくなる」(大手メーカー)と反発が強い。

 米側の議会対策も難航。上院環境公共事業委員会は5日、20年までに05年比で20%削減する地球温暖化対策法案を可決したが、産業界の一部や共和党に反対論が強く、年内の本会議採決は難しい見通しだ。

■普天間移設

 決着が先送りされた普天間移設問題。しかし首相は年末の来年度予算編成で、普天間移設や海兵隊グアム移転の事業費を盛り込むか、判断を迫られる。予算計上を見送れば、米議会も次期国防関連予算で海兵隊グアム移転事業費の計上を拒み、在日米軍再編計画が崩れる可能性がある。

(共同通信配信、2009年11月14日朝刊掲載)

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