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アジアと関係強化 オバマ米大統領演説「日本 安定の要」 

 オバマ米大統領は14日、都内でアジア政策について 演説 し「米国は太平洋国家。この大洋で固く結び付いている」と述べ、アジア諸国との関係を強化、指導的役割を担う方針を宣言した。アジア歴訪最初の国である日本がアジア安定の「要」と強調し、日米の「揺るぎなき同盟」がアジア政策の基軸になるとの考えを表明。来年の日米安全保障条約改定50周年に向け関係強化の布石を打った。

 北朝鮮には、日本人拉致問題の解決が日朝国交正常化の前提になるとの認識を示し、6カ国協議復帰を求めた。オバマ大統領が拉致問題で、ここまで踏み込んだ認識を示したのは初めて。「核兵器なき世界」実現への決意も重ねて示した。

 大統領就任後、アジアに関する初の包括的政策表明。景気後退からの脱出を図る世界経済のけん引役のアジアを米国が重視し、積極的に関与していく決意を強調した。

 ハワイで生まれ、少年期をインドネシアで過ごした大統領は自身を「米国初の太平洋大統領」と形容し、米国は参加していない東アジアサミットに「より正式な形」でかかわりたいと述べた。

 「核兵器がどんなものか、日米両国が世界で一番よく分かっており、共に核のない未来を志向しなければならない」とも語り、日本と協力し、核廃絶を目指すとの誓いを新たにした。

 ただ核兵器が存在する限り、日韓を含む同盟国に強力で効果的な核抑止力を提供すると強調、北朝鮮に「完全かつ検証可能な」核放棄を求めた。

 中国を封じ込める意図はなく、国際社会での役割拡大を歓迎すると表明。地球温暖化問題では、各国に努力を促した。

 オバマ大統領は14日午後、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席のため日本を離れ、同日夜、シンガポールに到着した。

歴代米大統領の来日と演説
 1960年にアイゼンハワー大統領の来日が予定されていたが、日米安保条約改定をめぐる混乱で見送られ、初めて実現したのは74年のフォード大統領。クリントン大統領は98年6月、中国に9日間滞在しながら日本に立ち寄らず「ジャパン・パッシング(素通り)」と呼ばれたが、同年11月の来日では市民との対話集会に参加。レーガン、クリントン、ブッシュ(息子)各大統領は、国会での演説も行った。

(共同通信配信、2009年11月15日朝刊掲載)

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