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日米首脳会談 大統領発言 被爆者 期待と疑問

■記者 吉原圭介

 日米首脳会談を終えたオバマ米大統領が、被爆地訪問に触れながらも「短期的には予定がない」と述べたことや、核兵器廃絶は目指すものの「生きているうちには無理かもしれない」と発言したことに、広島の被爆者は複雑な心境を語った。

 原爆資料館ピースボランティアの岡田恵美子さん(72)は「日米首脳が核軍縮について共同で会見すること自体が画期的。廃絶への明るい兆しを感じた」と評価する。原爆投下の是非への質問に答えなかったことには「米国内には原爆を正当化する世論が根強く、大統領の立場では何もいえなかったのだろう」と推し量った。

 「重要なのは『核なき世界』を目指すとしっかり言っている点」と強調するのは広島県被団協の坪井直理事長(84)。同時に「できるだけ早く、原爆慰霊碑の前で核兵器は二度と使わないと言ってもらいたい」と求める。

 一方、もう一つの県被団協の金子一士理事長(84)は核抑止力の維持に触れた点を「どこまで本気で廃絶を考えているのか分からない」と懐疑的に受け止める。「被爆地で、体全体で核兵器の残忍性を知らなければ分からない。オバマ大統領に期待するのではなく、地道に廃絶への機運を盛り上げていくしかない」

 元原爆資料館長の高橋昭博さん(78)も「核兵器廃絶に関する会談内容は薄かったようで残念」と話しながらも「時間的な制約もあるだろう。大切なのは、この日連携を誓った日米が、今後どう行動をしていくかだ」と期待をつないでいる。

(2009年11月14日朝刊掲載)

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