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原爆症認定 解決へ基金3億円 自公が法案 今国会成立の公算大

■記者 岡田浩平、漆原毅

 原爆症認定集団訴訟で、自民、公明両党は17日、敗訴者に解決金を支払う基金に国が支出するための議員立法案を固めた。訴訟終結に向け政府と原告が8月に交わした確認書に基づく立法で、原告側が設ける基金に3億円規模を拠出する内容。参院で厚生労働委員長提案を目指し、18日にも民主党と与野党協議に入る。今国会中に成立する公算が大きくなった。

 自民、公明両党の関係者によると、法案は原告の問題解決のための基金へ補助するという趣旨。基金の使途や運用主体などは細かく規定せず、原告側の裁量に委ねる形をとり、事実上の解決金に充ててもらう。日本被団協や全国原告団・弁護団とも大筋で合意しているという。

 全国弁護団は、一審で敗訴した15人に加え、今後の判決で敗訴者が増えるとしても対象は最大30人程度と見込んでいる。

 両党は18日に正式な党内手続きをとる。衆院では政府提出の法案の審議などをめぐり国会運営で与野党間の対立が続いているため、週内に参院、来週に衆院を通して成立を図りたい考え。18日にも参院民主党に法案の説明をし委員長提案を呼び掛ける。

 民主党の小沢一郎幹事長は同日、同党議員らと会談し、議員立法について「政府と各党が良ければ結構だ」と述べた。鳩山由紀夫首相も就任前、舛添要一前厚労相に協力を約束。この6日には今国会中での成立を図るべきだとの認識を示しており、民主党側は対案も示し修正協議を進める構えだ。

 ただ党内には「まず政府提出の法案を通すべきだ」との意見があり、30日の会期末が迫る中、成立に向けては流動的な面も残っている。

原爆症認定集団訴訟終結に向けた確認書
 8月6日に広島市で、訴訟を主導した日本被団協の坪井直代表委員らと当時の麻生太郎首相(自民党総裁)が交わした。「議員立法により基金を設け原告の問題解決のために活用する」との項目は、被団協などが訴えてきた「原告全員救済」による訴訟の一括解決を図るため敗訴者に解決金を支払うのが目的だった。確認書では、一審で勝った原告の認定▽厚労相と被団協など原告側との定期協議の場を設ける―も盛り込まれている。

(2009年11月18日朝刊掲載)

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