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原爆症訴訟 解決金 平均420万円 自民が法案決定

■記者 岡田浩平

 自民党は18日、政権政策委員会を開き、原爆症認定集団訴訟の敗訴者に解決金を支払う基金に国が補助できるよう定める議員立法案を正式に決めた。

 法案は、原告側の法人が設ける基金への政府支出を可能にする内容。敗訴者1人当たり平均約420万円の解決金や原告全306人を対象にした訴訟費用などを積み上げ、予算額は3億円を見込んでいる。施行は来年4月。

 公明党も19日に政調会議を開き最終決定する。両党は超党派での早期成立へ、参院で厚生労働委員長ポストを持つ民主党に委員長提案を打診しており近く3党で協議する方針。

 自公両党は週内の参院通過を当初目指していた。しかし、衆院での政府提出の法案審議が遅れている影響で、次回の参院本会議は来週になる見通し。また民主党の参院国対幹部は、政府提出法案の成立を優先すべきだとの考えを示しており、30日までの衆院通過、成立へ向けてぎりぎりの日程になりそうだ。


今国会成立を 制度改正望む 原爆症救済基金 ヒロシマの声


■記者 金崎由美、長田浩昌

 原爆症認定集団訴訟の一括解決に向け、国が解決金を拠出するための法整備に与野党が動きだした。被爆地広島の原告の間では、一刻も早い決着を願う声が強まっている。

 敗訴者の救済基金に国が3億円規模を拠出する―。自民党が議員立法案を正式決定した18日、広島原告団の副団長、玉本晴英さん(79)=広島市安佐南区=は「政権が代わり、議員立法は時間がかかるのではないかと心配していた。意外と早く動きだした」と歓迎の声を上げた。広島原告団では2人が敗訴している。「救済が決まるまで私たちの訴訟は終わらない。ぜひ早期解決を」と、30日に迫った今国会の会期末までの成立を願う。

 集団訴訟を主導してきた日本被団協は19日に東京都内で代表理事会を開き、与野党の動きを確認し、今後の対応を検討する。坪井直代表委員(広島県被団協理事長)は「法成立まで予断を許さない」と慎重姿勢。基金の運営については「しっかり話を詰めなければならない」と話す。

 ただ、基金により敗訴者救済は可能になっても「認定基準を再度見直すなど制度を抜本的に改めない限り、最終解決には遠い」との声は被爆者の間でも根強く残る。

 全国弁護団は22日に都内で会合を開いて統一見解をまとめる。宮原哲朗事務局長は「法の施行が見込まれる来年4月を目標に、日本被団協、原告団とともに異論も含めて意見を出し合い、(基金の受け皿となる)法人のあり方を具体化させる」と話している。

(2009年11月19日朝刊掲載)

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