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臨界前核実験 米が計画 来年9月までに3回 ネバダ実験場

■記者 金崎由美

 米エネルギー省が来年9月までに3回の臨界前核実験をネバダ州の核実験場で計画していることが19日、分かった。実施すれば2006年8月以来となる。核爆発を伴わないため包括的核実験禁止条約(CTBT)に違反しないと米政府は主張するものの、核兵器廃絶に向けた国際機運に逆行するとして内外の批判を招きそうだ。

 ネバダ核実験場の広報担当者が中国新聞の取材に対し、2010米会計年度(来年9月まで)に計3回の計画があると明言した。ただ具体的な実施時期は未定で「変更や中止もありうる」としている。

 担当者によると、実験は「保有核の安全性と信頼性の確認」が目的。ロスアラモス国立研究所(ニューメキシコ州)の主導で行う。高性能爆薬を使って少量のプルトニウムに衝撃波を与え、核弾頭の経年劣化の有無などを確かめるという。

 実験の強行は、オバマ大統領が重要課題に掲げる核不拡散の取り組みに矛盾するとして批判を集めそうだ。CTBT批准をめぐる米上院の審議に影響する可能性もある。米国内の専門家の間では、核爆発なしに核兵器の性能は維持できると示すことにより、批准反対派への説得材料になるとの見方も出ている。

 実験場はラスベガスの北西約100キロで、地下に臨界前実験施設がある。米国は1992年に核爆発を伴う核実験の一時停止を宣言。97~06年に臨界前核実験を計23回実施した。

臨界前核実験
 核分裂の連鎖反応が続く臨界にならないよう少量の核物質を使い、核爆発は起きない。未臨界核実験とも呼ばれる。米国が1997年以来実施したうちの2回は英国との共同実験。ロシアも北極圏ノバヤゼムリャ島などで実施している。

(2009年11月20日朝刊掲載)

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