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核持ち込み密約 外務省、認める方針 関連文書を確認 1月に結果公表

 外務省は21日、調査を進めている米軍核搭載艦船の日本通過・寄港を黙認する日米両政府の「核密約」を事実上認める方針を固めた。同省関係者が明らかにした。週明けにも設置される第三者の有識者会議で精査。岡田克也外相は三重県四日市市内で記者団に対し、来年1月に調査結果を公表すると表明した。

 政府は外務省の方針を踏まえ、密約の存在を否定してきた従来の見解を転換する見通しだ。

 外務省はこれまでの調査で「核密約」の存在を示す関連文書を確認。これを受け、日米安全保障条約の「事前協議」の対象となっている日本への核兵器持ち込みのうち「核兵器搭載の艦船、航空機の領海通過や寄港、飛来」を対象外とした合意は存在したとみなす。

 これに関して岡田氏は21日、三重県桑名市での講演で「外部の有識者に検証してもらい、なぜ密約が必要とされたか、時代背景も調べて報告したい」と強調。「調査は順調に進んでいる。内部調査はほぼ終わりつつある」と述べた。有識者会議は研究者やジャーナリスト経験者ら5人程度とする方向だ。

 「核密約」は日米安保条約の「事前協議」を骨抜きにし、非核三原則との矛盾が生じるため、歴代自民党政権は密約の存在を一貫して否定してきた。しかし政権交代をきっかけに、政府が従来の見解を改め公式に存在を認める方向となった。

 核密約を記した秘密議事録は1960年1月6日、当時の藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日米大使が署名。元外務省幹部は共同通信の取材に対し、北米局と条約局(現国際法局)が厳重保管していたと証言している。日本政府は長年「事前協議の申し入れがない以上、核は持ち込まれていない」との見解を示し、存在を否定してきた。

 今回確認された文書には「核密約」の根拠となる、日米安保条約改定時に交わされた秘密の「討論記録」の内容をうかがわせる文言が記されているという。記録は米側では既に公開されている。

日米核密約
 外務省が調査している日米間の4密約の一つ。米軍による日本への核兵器持ち込みは日米安全保障条約の「事前協議」の対象であるにもかかわらず、日米両政府は「核兵器搭載の艦船、航空機の領海通過や寄港、飛来は対象外にする」と秘密合意したとされる。米公文書によると、両国は1960年の安保改定時に「核持ち込み」を事実上容認する「秘密議事録」に調印。1963年、当時の大平正芳外相とライシャワー駐日米大使との間で核搭載の艦船、航空機の立ち寄りは事前協議を必要としないと再確認した。

(共同通信配信、2009年11月22日朝刊掲載)

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