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核持ち込み密約 秘密議事録「見覚え」 元外務次官が証言

 米軍核搭載艦船の日本領海への通過・寄港を黙認した核密約に絡み、外務事務次官経験者は21日までに、密約内容を記した英文の「秘密議事録」について「見た覚えがある」と共同通信に明らかにした。核密約を裏付ける証言だ。

 外務省は21日、秘密議事録の存在を示す関連文書の存在を確認。だが外務省関係者によると、岡田克也外相の「大臣命令」で9月に始まった同省調査では現時点で、秘密議事録は見つかっていないという。2001年4月の情報公開法の施行に合わせ密約関連文書が破棄されたとの情報もあり、外相が近く立ち上げる有識者会議では、同議事録が保管されてきた経緯や不存在の理由なども焦点となりそうだ。

 日米安全保障条約改定直前の1960年1月6日に、当時の藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日米大使が署名した同議事録をめぐっては、元外務省条約局長(現国際法局長)が原文が90年代に同省内に保管されていたと7月に証言していたが、事務次官経験者が存在を認めたのは初めて。

 公開済みの米側公文書では同議事録が米政府に保管されていることが確認されており、安全保障政策の根幹に触れる重要文書が日本側にないということになれば、そのずさんな管理実態が問題となりそうだ。

 80年代から90年代にかけて外務省の要職を歴任した元事務次官は匿名で共同通信の取材に応じ、同議事録を「(在任中に)見た覚えがある。何か問題が起こって、調べた記憶がある」と証言。具体的に何が問題となったのかについては「覚えていない」としながらも、同議事録を参照する必要が生じたため閲覧したと語った。

日米核密約
 外務省が調査している日米間の4密約の一つ。米軍による日本への核兵器持ち込みは日米安全保障条約の「事前協議」の対象であるにもかかわらず、日米両政府は「核兵器搭載の艦船、航空機の領海通過や寄港、飛来は対象外にする」と秘密合意したとされる。米公文書によると、両国は1960年の安保改定時に「核持ち込み」を事実上容認する「秘密議事録」に調印。1963年、当時の大平正芳外相とライシャワー駐日米大使との間で核搭載の艦船、航空機の立ち寄りは事前協議を必要としないと再確認した。

(共同通信配信、2009年11月22日朝刊掲載)

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