×

ニュース

救護被爆者認定 新指針を決定 広島・長崎4県市

■記者 東海右佐衛門直柄

 救護被爆者としての被爆者健康手帳の交付要件を見直す広島、長崎4県市の会合が26日、広島市の中区役所であり、新審査指針を正式決定した。手帳交付申請の却下処分をめぐって広島市が敗訴した3月の広島地裁判決を受け、認定要件を大幅に緩和した。広島市は27日から、広島県と長崎県・市は近く運用を始める。

 4県市の担当課長など11人が出席。新指針案をつくった広島市が現行要件との相違点を説明し、厚生労働省の了承を得たことを報告した。新指針では、救護や看護などの際の認定要件である被爆者との接触者数を「10人以上」から「1日5人以上」に緩和。さらに接触がない場合も、一定数の被爆者が集まる環境にとどまったと証明できれば認める。

 会合では、認定要件の数値基準に満たない場合も、個別審査で「認定に相当する被爆事実」が判明すれば認める方針を確認した。手帳審査を担当する他の都道府県に新指針の採用を促すため、年内に厚生労働省へ申し入れることにした。広島市原爆被害対策部の国本善平部長は「これまで却下された人も再申請を検討してほしい」と呼び掛けている。

救護被爆者の審査指針

<従来の審査指針>
救護、看護、運搬などで、負傷したり亡くなったりした被爆者10人以上に触れた人

<新審査指針>
(1)救護、看護、運搬などで、負傷したり亡くなったりした被爆者に1日5人以上触れた人
(2)被爆で負傷した人が15人以上いた寺などの収容施設、または、同5人以上がいた病室などの
   閉鎖空間に、おおむね2日とどまった人
(3)数値基準を満たさなくても、認定に相当する被爆事実が確認される人―のいずれかに該当
 ※原爆投下後2週間以内。「入市被爆」と認められない区域が対象

(2009年11月27日朝刊掲載)

関連記事
救護被爆認定 広島市の新指針案に元原告側が意見書(09年11月 2日)
救護被爆者 原告以外で初手帳 広島市(09年6月29日)
救護被爆の手帳交付 新指針策定へ 広島・長崎4県市が合意(09年4月15日)

年別アーカイブ