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沖縄核と朝鮮半島有事 外務省、2密約未確認 きょうから有識者委

 外務省の日米密約調査の対象となった4密約のうち、1972年の沖縄返還に向け認めたとされる核再持ち込みと、1960年の日米安全保障条約改定の際に作成されたとみられる朝鮮半島有事における米軍の戦闘作戦行動に関する二つの密約は、関連文書を含め省内調査で確認できなかったことが分かった。複数の関係筋が26日、明らかにした。

 外務省調査の限界を指摘する声もあり、両密約の真相解明は、27日にスタートする第三者の有識者委員会による検証作業の焦点になりそうだ。

 沖縄返還をめぐっては、当時の佐藤栄作首相とニクソン米大統領が1969年の首脳会談で、沖縄からの核兵器撤去で合意。しかし、佐藤首相の「密使」としてキッシンジャー大統領補佐官との秘密交渉に臨んだ国際政治学者の若泉敬氏(故人)が1994年に刊行した著書で、米側で緊急時に核を再び持ち込む必要性が生じた場合、安保条約の「事前協議」を経た上で、日本側が「遅滞なく」認めるとした秘密合意議事録作成を暴露した。

 米が公開した公文書でも、キッシンジャー氏が1969年、ニクソン大統領にあてたメモで、この秘密合意が存在することが明らかになっている。

 一方、安保条約改定時の朝鮮密約は別の米公文書で確認された。東京での安全保障に関する会合で、藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日大使が、朝鮮半島で武力攻撃を受けた場合には米軍が、日本との事前協議なしで在日基地を使用できるとの認識を共有したことが明記されている。

 沖縄核密約に関する合意文書そのものは公文書で確認されていない。有識者委員会には、当時の日米政府関係者らへの聞き取りが求められそうだ。外務省は、安保条約改定時の「核持ち込み密約」を裏付ける文書については確認している。

日米4密約
 岡田克也外相は9月の就任後、日米間の四つの「密約」について事実関係を明らかにし、調査結果を報告するよう国家行政組織法に基づく大臣命令を出した。調査対象は(1)1960年の日米安全保障条約改定時に交わされた核持ち込み(2)朝鮮半島有事における米軍の戦闘作戦行動(3)1972年の沖縄返還に絡む有事の際の核再持ち込み(4)沖縄返還時の原状回復補償費の肩代わり―に関する密約。いずれも自民党政権が国会答弁などで一貫して否定。(1)について外務省は存在を裏付ける関連文書を確認。(4)は東京地裁で存否が争われている。

(共同通信配信、2009年11月27日朝刊掲載)

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