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原爆症訴訟 基金法案 参院へ提出 来週にも衆院で成立

■記者 岡田浩平、漆原毅

 原爆症認定集団訴訟の敗訴者救済基金に国が補助する議員立法案が27日、参院へ提出された。30日の本会議で可決し衆院に送付される。会期延長により来週に衆院で可決、成立する見通しで、訴訟の一括解決へ前進する。

 法案は原告側の法人が設ける基金に国が補助金(3億円)を拠出できる内容。事実上、敗訴者の解決金に充てる。付則で「政府は認定など制度のあり方を検討し必要な措置を講じる」との趣旨を盛り込み、民主党が衆院選のマニフェスト(政権公約)で掲げた制度の抜本改正も求める。施行日は来年4月。

 この日の参院厚生労働委員会で柳田稔委員長(参院広島)が提案説明。長妻昭厚労相も「異議なし」と表明した。政府提出法案の審議時は退席していた自民党の委員も戻り、全会一致で委員長提案での提出を決めた。

 厚労委員で法案作成を主導した自民党の南野知恵子氏は散会後、傍聴した山本英典全国原告団長ら訴訟関係者と握手し「人道的観点から一刻も早い成立へ賛成の意思を示したかった」と述べた。

 国会では自民党が2度目の審議拒否を続け混乱しているが、基金法案については政府と日本被団協の確認書に基づき自民、公明両党が民主党に超党派での成立を呼び掛け、今国会中での成立へ与野党が一致。30日以後の会期延長もにらみ審議日程を調整していた。

 法が成立すれば訴訟の一括解決へ道筋がつき、今後は約8千人の認定審査待ち解消や司法判断とかけ離れた認定制度の抜本改正が焦点になる。山本団長は「行政と被爆者が話し合いで解決できるよう互いに努力をしなければ」と話している。

(2009年11月28日朝刊掲載)

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