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中高生が平和宣言 広島・長崎のグループ

■記者 明知隼二

 核兵器廃絶を目指し活動する広島と長崎の高校生が29日、長崎市内で会議を開き、合同で平和宣言を完成させた。世界の人々に、平和のために行動することを呼び掛ける内容で、鳩山由紀夫首相を含め世界各国の首脳に届けることを目指す。

 平和宣言をつくったのは、広島の「中高生ノーニュークネットワーク広島」と長崎の「高校生1万人署名活動実行委員会」の中高生。長崎の高校生が今月上旬に広島を訪れ、宣言づくりを提案した。今回は3度目の会議のために広島の高校生5人が長崎を訪れ、互いに持ち寄った案をさらに議論して完成させた。

 「世界中のすべての人へ」と題し、被爆地で生まれ育った中高生として、広島と長崎の悲惨な歴史を繰り返さないために「核兵器や武力ではなく対話と信頼で平和を築きたい」とうたう。また一人一人に行動を起こしてほしいとの思いを、「あなたが今できることを考えてください」との問いかけに込めた。

 長崎北高2年の林田光弘君(17)は「議論を重ね、胸を張って発表できる宣言になった」と笑顔を見せ、広島女学院高2年の中垣友里さん(17)も「無関心が一番怖い。核兵器や平和について考えるきっかけにしてもらえれば」と話していた。

 両グループは今後も協力して宣言を広める方針で、若い世代の活動で両被爆地の連携が深まることが期待されている。


「核の恐怖 イメージ」 細部まで真剣議論


■記者 明知隼二

 広島の「中高生ノーニュークネットワーク広島」の高校生メンバー5人は29日午前、列車で長崎市に到着。早速、現地の「高校生1万人署名活動実行委員会」の仲間の案内で原爆資料館や平和公園、爆心地を訪ねた。

 午後からは長崎県教育文化会館へ移動し、平和宣言のまとめにかかった。宣言文をつくる会議は今回で3度目。両被爆地の高校生たちは、表現の細部に至るまで真剣な議論を交わした。

 広島女学院高2年の高本友子さん(17)は、宣言の冒頭に盛り込んだ、大切な人が傷つき失われるという表現にこだわった。「何も知らない人が読んでも、核兵器の恐怖をイメージできる宣言にしたかった」

 「加害の面に向き合わないと、世界の人に被爆地のメッセージを受け止めてもらえない」と主張したのは、修道高1年の岡田悠輝君(16)。韓国での平和学習の経験から、日本の戦争加害を意識した宣言にしたいと繰り返し仲間に呼び掛けた。

 この日は約2時間かけて最終文書を完成。その後は、JR長崎駅前で、一緒に核兵器廃絶を訴える署名活動に取り組んだ。広島学院高2年の金森雄司君(17)は「多くの人が署名に協力してくれ、広島と同じように市民の平和への意識が高いと感じた。広島と長崎はもっと一緒に頑張れるはず」と、さらなる連携への意欲を見せていた。


           「世界中のすべての人へ」広島長崎中高校生平和宣言

                         想像して下さい
   たった一発の原子爆弾によってついさっきまで隣にいた大切な人が一瞬にして焼けただれ、
                       苦しみ死んでいく姿を
                      これが核兵器の恐怖です
               1945年8月6日8時15分、8月9日11時2分
                  原子爆弾が広島、長崎に投下されました
                    悲惨な歴史を忘れてはいけません
                    そして、繰り返してはいけません

              だからこそ、私たちは世界の核兵器廃絶を目指しています
        私たちは被爆地で生まれ育ち、幼いころから核の恐ろしさを学んできました
           核兵器の廃絶が平和な世界への第一歩となることを信じています

              私たちは世界の現状をしっかりと見つめる必要があります
               多方面から見た正しい歴史を学んでいく必要があります
                多くの人の声を聞き想いを受け止める必要があります

                          そして未来のために
          核兵器や武力でつくる平和ではなく、対話と信頼で平和を築いていきたい
       宗教・人種・言葉の壁を越えて、世界中の人々と手を取り合って行動していきたい
             世界平和実現のためにあなたが今できることを考えてください

                            人のために
                            世界のために
                            地球のために
                               そして
                            未来のために

                        あなたに今何ができますか
                   私たちは微力ですが無力ではないはずです
                 広島長崎の中高生が核兵器廃絶への想いを共有し
               世界平和実現のためにともに歩むことをここに宣言します


(2009年11月30日朝刊掲載)

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