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原爆症訴訟 新たに5人認定 横浜と福岡で原告勝訴

■記者 岡田浩平

 原爆症の認定申請を却下された被爆者が集団で国に処分取り消しと1人当たり300万円の賠償を求めた訴訟の判決が30日、横浜地裁と福岡高裁であり、新たに認定を求めた計7人のうち5人が原爆症と認定された。

 17地裁に提起された集団訴訟では、国が19回続けて敗訴しており、今回が20、21回目の判決。原告側と国が8月、原告全員の救済を盛り込んだ解決策に合意した後では初の司法判断となった。

 合意に基づく救済基金創設の法案は1日、衆院本会議で可決、成立することが確実で、敗訴した原告も金銭補償を受けられる見通し。  原告は計34人で、全員が求めた国への賠償請求については、いずれの判決も認めなかった。

 横浜地裁の北沢章功裁判長は判決理由で「固定的な残留放射線量の評価には、疑問を持たざるを得ない。残留放射線の影響や内部被曝(ひばく)について過小評価に陥る危険がある」と国を批判した。

 横浜訴訟の判決後、横浜市内で会見した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の田中熙巳事務局長は「判決は昨春導入された新基準で認定されない人も認めている。新基準を見直して広げる必要があるのではないか」と話した。

(2009年12月1日朝刊掲載)

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