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広島の元高校教諭 演劇と戦争 思いつづり自費出版

■記者 見田崇志

 三次市吉舎町の元高校教諭松森多海夫さん(88)が、高校や地域で指導してきた演劇や、その原点となった戦争体験などをつづった「随想 蝸牛(かたつむり)録抄」を自費出版した。

 A5判、193ページ。戦時中の1943年9月に早稲田大文学部を卒業、翌年、フィリピン戦線に赴き、終戦後も約1年間、現地の収容所で過ごした。

 収容所生活を癒やすためにできた演芸班で脚本を担当。演劇に携わるようになった経緯や、平和教育の一環として体験に基づいた演劇に取り組んだ歩みなどを記している。過酷を極めた戦地での体験をつづり、戦争の無意味さを訴え続ける決意も述べている。

 松森さんは三次高や市民劇団で劇の創作や指導を続けてきた。「常に新しい世界観を発見できるのが演劇の魅力」という。

 米寿を機に、吉舎老連便りや庄原市のひろしま備北文学、出身地の北九州市の情報誌などに寄稿したエッセーをまとめた。「教育や政治など自分の関心に沿って読んでほしい」と話している。ファクス0824(43)2609=松森さん。

(2009年12月1日朝刊掲載)

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